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乗峯栄一著『競馬妄想辞典 言いたいのはそこじゃない』

この本の扉にはこう書いてあります。

読者からは「日本一当たらない予想屋」と言われ、調教師からは「あんたに本命にされたら勝てへん」とからかわれた。それでも明るく競馬を愛し続けた競馬コラムニストが、地の底・宇宙の果てからレース結果を左右する究極の競馬原理を追究。歴史、文学、生物学、物理学、心理学……怪しい知識を駆使したユーモア・コラム77 本。年季の入った競馬ファンから初心者まで、たっぷりお楽しみいただけます。

たしかにたっぷりと楽しませてもらいました。俗に「おもしろい人は常におもしろいことを考えている」と言われるけれど、乗峯さんも始終、何を見ても聞いても、おもしろい風にしか解釈できないんだろうとコラムを読むと思えてしまう。このバカバカしくも、しかし競馬に対して愛情のあるコラムを読まないのは損でしょう。この本を読まなくても人生に困りはしないが、おもしろいことを考えるすべの1つは失われてしまうように思えます。

乗峯 栄一氏 略歴
作家・競馬コラムニスト。1955年岡山県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、定時制高校教員生活を経て文筆に専念。1992年から20年間、スポニチ(関西版)に競馬予想コラム「乗峯栄一の賭け」を長期連載。それとともに始まったトレセン訪問取材は四半世紀を超えて継続中。現在、『週刊競馬ブック』で予想抜きの競馬コラム「理想と妄想」をロングラン連載中。グリーンチャンネル『ケイバどーも!』レギュラーコメンテーター。facebookにアップされるトレセン写真とぶっちゃけ裏話も好評。『本の雑誌』第1回競馬本大賞を受賞した『乗峯栄一の賭け』(白夜書房)、第9回朝日新人文学賞を受賞した『なにわ忠臣蔵伝説』(朝日新聞社)など多数の著書がある。

【参照】乗峯栄一氏コラム 競馬巴投げ

以下、この本『競馬妄想辞典 言いたいのはそこじゃない』の中から地方競馬に関わる園田菊水賞のコラムを紹介します。気に入ったら買うべし!

楠木正成 菊水紋

桜の季節に菊水賞

乗峯 栄一著『競馬妄想辞典 言いたいのはそこじゃない』より

桜シーズンが年々早くなり、開花情報が伝わってくると、「桜花賞までもつのかなあ」と、まずそれが心配になる。
だが、阪神競馬場の桜というのは不思議と遅咲きで、ここ数年の早い開花でも桜花賞日に散ってしまうということはない。

散りきってはいないが、しかし盛りはだいたい過ぎている。桜花賞を”葉桜賞”にしないためにも「満開の桜の下で入学式」というイメージを残すためにも、品種改良でもして、桜の開花を4月初旬に遅らせられないものかと思う。

いま関西で「花の盛りに行われるレース」は、桜花賞より、4月第1週にある園田菊水賞になっている。中央の皐月賞にあたる園田三冠最初のレースだ。
でも、なぜ「桜の季節に菊水賞」なのか。

「菊水」というのは楠木正成の家紋から来る。上半分に菊の紋、下に「S字」を逆にした水の流れが印される。菊紋はもちろん天皇家の御印で、上半分だけこの菊紋を拝領したのは忠臣の鑑と認められたからだと言われる。

楠木家は代々河内の土豪(当時で言う悪党)だったと言われるが、駿河出身説や武蔵出身説もある。出自はよく分からない。

正成は1331年、後醍醐天皇の笠置山蜂起以来、一貫して天皇側部隊として鎌倉幕府軍と戦った。

天皇が隠岐島から帰京した後も朝廷軍の主力として戦うが、1336年、九州で兵力を整えた足利尊氏が大軍をもって上洛するという報を聞く。天皇を一時比叡山に退避させ、その間に京都で尊氏と雌雄を決する案を提言するが、天皇を京都に置いたまま尊氏の京都侵攻を阻止すべしと考える公家たちの、「正成、臆したか。帝をお移しするなど畏れ多いわ」という言葉に遮られる。

「もはや、これまで」と、正成は西下して尊氏を迎え撃つ覚悟を決め、旧暦5月25日、神戸湊川の戦いで敗死する。

ぼくの調べた限り、正成と兵庫県のつながりは、この最後の湊川の戦いの所しか出てこない。

九州に多く見られるクスノキを兵庫の県木”とし、楠木家家紋の「菊水」を冠する重賞レースを兵庫県競馬組合が主催するほど、兵庫県と正成に強い縁があるようには思えない。

ただ、この最後の死地・湊川に向かう前、正成は11歳の一子・正行を大阪島本の里、桜井の陣に呼び、「再び生きて相まみえることはない。お前には河内長野の砦を頼む」と言い残して別れる。世に言う”桜井の子別れ、だ。

島本の桜井というのは、地図を見れば分かるが、ここで別れを告げても、淀川河口あたりまで一緒に行かないと別れられない。

別れを告げたあと何日も一緒にいるというのは精神衛生上よくない。おそらくこの時代には、桜井から現在の八幡市橋本に向けて橋があり、正行はこの橋を渡って泣く泣く河内に戻ったと思われる。

つまり、神戸湊川で楠正成が戦死したから「菊水賞」なのではない。

一子・正行と桜井で子別れしたから、その「桜井」を偲んで、正成は桜満開の現世に戻ってくる。そう考えれば「春爛漫の菊水賞」の意味がわかるような気がする。
写真は2019年4月 菊水賞勝ち馬ジンギ 
田中学騎手 橋本忠明調教師

園田の菊水賞は4月ですから今年はもう終わりましたが、9月以降も地方競馬では続々とビッグレースが続いていきます。ぜひ思い立ったら、BAOO博多へのご来場ください。お待ちしております🤟
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