【競馬のルーティン】
市原 冨さんが馬券を買う時のルーティンはありますか?
吉冨 月に2、3回場外に買いに行くんですが、昔は買うお金を3レースいくら、6レースいくらという具合に封筒に分けて入れてたんですけど、これをやってても負けると頭に来て、封を破って買う予定のないレースを買っちゃうんです。そんなことをずっと繰り返して、封筒に分けるのはあまり効果なかったですね。
市原 ネット投票はされるんですか?
吉冨 今はネットでは買わないんです。コンビニですぐに入金できるでしょ。あれはコンビニのATMと戦うようなものです。負けてくると全面戦争になりますから。だから競馬は場外で現金で戦う。その時の僕の決め事は、人にススメられることじゃないですけど、行く前に水風呂ですね。最初は塩で体を清めた時期もりましたけどが、死にに行くみたいな感じがしてきちゃって、さすがにやらなくなりましたけど、今は水風呂。せめて冷水シャワーですね。これが僕のルーティンです。
市原 身を清めて戦場へ向かうわけですね。
吉冨 場外に行ったら選んだレースしか買いません。買ったらその場を離れて、レースも見ないんです。
市原 パドックは?
吉冨 見ません。ただ、30分前に馬体重は写します。これもふたつ取り決めがあって、休み明け増えて好走して、二走目も増えてる馬は消す。ハードな攻め馬ができなかったってことですから、二走ボケですよ。それと、休み明け減ってて、二走目も減ってるのは疲労か食欲不振で、これは100%近く飛ぶんです。
市原 場外を離れるのもルーティンなんですね。
吉富 競馬の楽しみってお金を賭けて、スタートのドキドキから始まって、ゴール前の「来た!」っていうのを味わいたくて皆やってると思うんですが、ここで無用な興奮をすると、ハズレた時、落ち込みます。次の思考に影響するんです。ハナ差負けが悔しくて買っちゃいけないレースを買ったりするんです。自分の弱さを知ってますから、その場を離れるのが僕の決め事ですね。
市原 さっきの己を知るということですね。
吉冨 己を知るという意味では、数字的には自分の的中率は知るべきですね。的中率2割なら、配当が5倍以上にならないと絶対儲からない。だから安いとこにドンと行ってもしょうがないんで、つくレースを待つことです。これは賭け事の鉄則です。競馬は負けたやつの金を勝ったやつが取るわけですから、相手が振り込む時が勝負。自分が平和(ピンフ)で何回も上がろうとするから苦しくなっちゃうんです。競馬で言うなら本命が飛ぶ時が勝負ですね。これは技術がいるんですけど、そういうレースを待つことです。土日で一鞍二鞍とかね。オッズが思ったよりつかなかったら買わない方がいい。
『勝負馬券論 100万仕事のマグナカルタ』の著者・市原克也氏は、1961年生まれ。【競馬場にまとまったお金を作りに来ていた」時代を知るツワモノですね。市原さんは、雑誌編集者からAV男優を経て、AV監督に。代々木忠監督の面接シリーズの隊長としても活躍されたとか。作り物を壊してホンネを露わにする手法で人妻熟女の生々しい作品を得意とし、言葉責めにも定評がある。市原氏は、競馬競艇への造詣が深く、得意な【言葉責め】を競馬で発揮して出来上がったのが『勝負馬券論ー100万仕事のマグナカルター』(ガイドワークス)というわけです。
帯には「気弱な傷病兵を振り切って、いざ100万のステージへ!」。
馬券野郎が見れば、迷わず買ってしまう煽り文句ですねえ。

マグナカルタとは、イギリス憲法を構成する重要文書の一つで、絶対権力者である側の国王の徴税制限、人身の自由、不当な裁判による逮捕・財産没収・追放の禁止などを定めたものだそうで、1215年、イングランド王ジョンが貴族たちに強制されて承認したとされています。
マグナカルタって学校のテストで出たよなあ。当時は「マグナ・カルタ」って書いてたと思うけれど。
それはさておき、なにかこうあるべし!というルールというか、憲法みたいなものを示すときにマグナカルタって使われるという印象です。
島地勝彦さんが週刊プレイボーイの編集長に就任した時に作家の開高健さんが『出版人マグナ・カルタ』を手渡し話は有名です。
出版人マグナ・カルタ九章
読め。
耳をたてろ。
両眼をあけたまま眠れ。
右足で一歩一歩歩きつつ、左足で跳べ。
トラブルを歓迎しろ。
遊べ。
飲め。
抱け、抱かれろ。
森羅万象に多情多恨たれ。
補遺一つ。女に泣かされろ。
右の諸則を毎日三度、
食前か食後に暗誦、服用なされるべし。

市原克也著『勝負馬券論 100万仕事のマグナカルタ』もそんな競馬や馬券の『市原克也流の憲法』みたいなものを示す心意気で書かれたんだろうと買う前に想像しました。
実際、本書では冒頭部分で『市原克也流の馬券憲法』が『勝負馬券マグナカルタ』としてまとめられ、最初のページに示されています。

参考になりました? もう『帯になるまでころがせ』という部分なんかは若い人にはついていけないかもしれませんね。ただそのすぐあとに『一転、退却せよ』とあるところなんかは味のあるところだと思います。本書を実際に手に取ってもらって、そうした馬券を買う際の考え方や行動のバランスを考える際の参考にしていただきたいと思います。
冒頭部分で読んでいただいたゲートインの吉冨隆安氏の話なんかを聞くと、どの業界でも『経験豊富な職人さん』というのはやることがだんだんと行者みたいになっていくんですねえ。場外馬券場に行く前に「水風呂入る」ですからねえ。
ただ「場体重は見ろ!」「己の的中率を知れ!」などは吉冨流のマグナカルタって感じで、いつかここでも斎藤一九馬著『最後の予想屋 吉冨隆安』や吉冨隆安著『確固たる軸馬が決まる「実走着差」理論』などは紹介できればと思います。

では市原克也著『勝負馬券論 100万仕事のマグナカルタ』からもう1つだけ、興味深い話を紹介しましょう。馬券を外して熱くなってしまいがちなあなたには良い薬になると思いますよ。
市原克也著『勝負馬券論 100万仕事のマグナカルタ』より 吉冨隆安(大井競馬予想屋・ゲートイン)
自分にとって、馬券勝負と言えばまず冨さんが思い浮かぶ。冨さんとは大井競馬の予想屋ゲートインの吉冨隆安さんのことだ。2017年の2月にはその半生を描いた「最後の予想屋吉冨隆安」(斉藤一九馬・ビジネス社)という本も出た。
今からもう20年以上前になるが、仕事のない日は大井や川崎競馬場に通い、冨さんの予想台の前にいた。
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今回、勝負馬券論を考えるにあたって、今一度冨さんの勝負哲学を聞いてみたかった。そこには自分の原点があるだろうし、伝説の予想屋が経験した勝負の真実があるはずだ。
市原 当時、冨さんの予想台の回りは競馬場の中でも異空間でした。皆、競馬場にまとまったお金を作りに来ていた。ここにいれば金ができる、そんなお金の匂いに引き寄せられてゲートインに来てるような空気があったんです。
吉冨 一時、そういう雰囲気がありましたね。年とともに環境が変わって、今は主に(客層は)若い子でしょ。競馬を打つというより、遊びに近づいてますね、この10年、5年で様変わりしました。ドンと打つ客がいなくなりましたね。
市原 あのころはみんな、予想は冨さんにまかせて、自分の役割はいくら張るかを決めるという、予想係と買う係の分業制みたいな感じがありました。
吉富 資本と経営の分離ですね。経営学の基本的な考えなんですが、資本家はどうすれば儲かるかを考える。経営者はPlan-Do-See、労務管理だとか社会に貢献するとかを冷静に考える。それは予想屋がレース分析して何をどう買えばいいのかを考えるようなものです。
市原 馬券勝負には資本家と経営者のふたつの側面があるわけですね。
吉冨 皆さん、競馬場にいると◎つけたり、コメント読んだり、これ、経営者の判断をしてるわけです。しかし、すぐにお金取り出して資本家にならなくちゃいけない、競馬場で馬券を買っていると、最後は皆、資本家になるんです。女房に内緒で10万持ってきたのに1万しか残ってない。だから10倍つかなきゃ元が取れないという具合にオッズしか見なくなる。これは資本家の発想ですよ。冷静に前夜に予想して準備しても、最後は(資本家になって)その決めた目を買わなくなっちゃう。そうならないように、予想と馬券を買うことのふたつを分離する。大井にいれば僕は経営者として最後まで冷静に分析するじゃないですか。買うっていうのは欲ですからひとりでやるとうまくいかないんです。
市原 それ、素人には無理ですよね。
吉冨 そうですね。打つ方はエネルギーいりますから。だから自分にあった専門家の意見を採択して、ここって納得して決めたら、そこにバチッと打つのが一番いいですよね。打つ方にエネルギーを集中できる。ひとりでやるとうまくいかない。オールマイティな人間はいませんから。信頼できて、気の合った予想があれば、それに委ねる。二人でも三人でもいいですが、自分の糧になる情報ソースを構築して、打つ方を強くした方がいい。
市原 予想のプロがいるならば、打つプロ、張り専門のプロがいてもいいと思うんです。
吉冨 その場合、予想のプロは競争原理に基づかないとね。僕は時計や血統でなく、レースの優劣で競馬に勝利したいと思ってるんだけども、競馬という巨大な賭けのマーケットでは淘汰されたプロがまだ確立していないんです。打って戦うマーケットとただの娯楽とはまったく別のものなんですね。
本書の宣伝文句は『数々の馬券勝負で修羅場に遭遇してきた著者が競馬王で大好評連載中の賭博未来論と、自身の経験と、プロ馬券師らとの対談を通し、到達したデジタル時代の現代競馬で「100万仕事」を成し遂げるための極意!!
「元金500円で10万にする」必殺のルーティンで、100万のステージに立つ土壌を作れ!
大井競馬のナンバー1予想家・ゲートインの吉冨隆安氏、1000万単位でプラス収支を続ける若きプロ馬券師・双馬毅氏との勝負論対談は、伝説と理論と僥倖に満ちたことばのうねりは必見!』
ここでは市原流マグナカルタの中から宣伝文句にもある大井競馬の場立ち予想家・ゲートインの吉冨隆安氏との対談の中から2つ紹介させていただきました。帯になるまでころがしたい人は必ずこの本を買うように!

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