10月にフランス・ロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞で勝ったアルピニスタ(牝5、父フランケル)が2022年11月27日に東京競馬場で行われるジャパンカップ(JC)に参戦する予定だと「アジアン・レーシング・リポート」が報じています。
凱旋門賞馬アルピニスタがジャパンC参戦へ 19日に来日予定(サンケイスポーツ)#Yahooニュースhttps://t.co/eDYion5Z0W
— 日刊競馬 (@nikkankeiba) November 9, 2022
ジャパンカップと有馬記念は、すでに国内最高賞金レースとなっていて、1着賞金は4億円で、為替の換算をどの時点でするかにもよりますが、この金額はサウジカップの1着賞金1千万ドル、ドバイ・ワールドカップの696万ドルに次ぎ、凱旋門賞の賞金285万7千ユーロよりも高くなります。獲られちゃうかもね、4億円!?
アルピニスタ陣営は「長距離輸送への不安」があるとしながらも、勝つ気満々みたいです。乞うご期待です。
残念ながらBAOO博多ではジャパンカップの馬券は買えないので、買うならBAOO博多の1階上のエクセル博多さんへGo!ですぞ。
さて、今日は懲りずにアンドリュー・ベイヤー氏の著作からおもしろいコラムを1つ紹介しようと思います。

アンドリュー・ベイヤー著『マイオールドケンタッキーホーム―A・ベイヤー アメリカ競馬コラム集』の出版は2000年4月ですからもう22年前ということになります。もはや古本ですな。ただベイヤーの本はいつ読んだって古いってことはないと思ってまして、登場する人や馬は多少時代を感じる部分はあっても本質的な問題は今でも十分通用すると思いますので。
冒頭で本の表紙はすでに紹介したのですが、手元にあるこの本には帯がついてまして、その文句がいかしてる
「どうしてこんな競馬コラムが日本にはないんだろう?」なんです。まあ、そう思うか思わないかはあなた次第ですから、この中から1つのコラムを紹介します。どうぞ!

アンドリュー・ベイヤー著『マイオールドケンタッキーホーム―A・ベイヤー アメリカ競馬コラム集』より
経済の原則を理解していない競馬場 July,1991
国全体が不況になったとしたら、商品の値下げをするのが消費者をひきつけるのに最も効果的な方法であることは、どんな経営者だってわかっている。
実際のところ、そんな不況にあって、値上げを敢行するような会社はあまりないだろう。「売り上げが20%落ちたから、その損失を補うために商品の価格を20%上げます」などという理由をつけられて値上げされても、誰が黙っていられるだろう。
けれども、競馬産業に限ってはこの行為が黙認されているようだ。ほとんどの競馬場の経営者、その経営者を統制している政治家は、まるで経済の原則が競馬産業にはあてはまらないかのように考えている。
競馬場が観客に対して強制的に売っている商品のうち、値段という面で最も重要なものは、馬券に関わるものである。つまり、観客が1ドル賭けるたびにそこから競馬場が引き抜く比率、控除率のことだ。
メリーランド州の競馬場で典型的な控除率はこのようになる。単勝のように配当がさほど高くない馬券は17%、エグザクタ(馬単)は19%、トライフェクタ(3連単)をはじめとして配当が高くなる馬券、いわゆるエキゾチック・ベット(高額配当が期待できる三連単など)では25%を控除している。過去の基準でいえば、この比率でさえ相当に高い。けれども政府はよりいっそう控除率を高くする方針のようだ。
マサチューセッツ州ではサフォーク・ダウンズを再開する認可を出したが、同時にエグザクタ(馬単)の控除率を25%にすることも決定した。エグザクタの控除率ではこれほど高い競馬場はない。
フロリダの州議会は、競馬場間の相互発売を実現させるための援助を認めたが、馬券を買う際だけではなく、的中馬券の払い戻し金から3%を引き抜くように命じた。この比率もかなり高い部類に属する。
アリゾナのドッグ・レースではエキゾチック・ベット(高額配当が期待できる三連単など)の控除率を25%から30%に上げようとしている。ニューヨークでは、法律の適用範囲を広めて、本来の控除とは別に場外馬券所に限って的中馬券の払い戻しから控除する比率を6%にすることを認めた。さらに、フィンガー・レイクスでは、控除率を2%引き上げることも認めた。
このように、あちらこちらでギャンブラーのポケットからお金が引き抜かれ、何百万ドルも巻きあげられてしまうのだ。けれども、競馬場の経営者は控除率が高くなることを、国民は税金が増すとは認知していないかもしれないが、当然払われるべきだとみなしている。
トライフェクタ(3連単)を的中させて200ドルが手に入れば、気分は高揚するだろう。だから、先週だったらまだ控除率が上がっていなかったので、213ドル20セントの配当金だったのにと、不平をいうことはないだろうと、競馬場の経営者は信じている。けれども、たとえば料理店でチキン一皿分の値段を上げれば何らかの影響が生じるだろう。このような影響と競馬産業は無関係なのだろうか。
経済学者のマウリー・ウォルフはこの問題を徹底的に研究した。つまり、80年代に控除率を引き上げた競馬、ハーネス・レース、ドッグ・レースで何が起きたかを調べたのである。ほとんどのケースで結果は驚くほど明らかになった。
81年のなかばのこと。それまでオハイオでは控除率がすべて17.5%だったのだが、単勝を18%に、複数の馬を組み合わせる馬券については21.5%に控除率を引き上げた。その結果どうなったのだろう。
たとえば、ノースフィールズ・パークはどうか。肉太の活字で、控除率を上げたあとの一日の平均売り上げが示されていた。
ウエスト・ヴァージニアのウィーリング・グレイハウンド・トラックは、ドッグ・レースでは華々しい成功を収めていた。生活水準の低い地域にありながら、毎年、堅実に売り上げを伸ばしていたのである。そして1987年のなかば、控除率を16.5%から17%に引き上げた。このケースでも結果は同じになった。
マサチューセッツのフォクスボロー・レースウェイでは、エキゾチック・ベット(高額配当が期待できる三連単など)の控除率を4%引き上げた。競馬場のスポークスマンは実際のところファンのために行ったのだといった。なぜなら、引き上げたことで賞金が高くなり、ファンが望んでいる質の高いレースを提供できるというのが理由らしい。
実際はどうなったのか。
きちんとした統計で、この変化が及ぼす影響を把握することはできない。
というのも、1年もたたない間に、この競馬場の経営は破綻してしまったからだ。
控除率を引き上げるとどうして売り上げは下がるのか。

アメリカン・ホース・カウンセルの大会で、ウォルフは各競馬場の代表者を相手に説明しようとした。
「控除率を引き上げることは結局売り上げを減らすことになります。観客は馬券が的中しても受け取る配当金が少なくなるからです。当然、最終レースが終っての残金も少なくなり、やがて馬券を買えなくなってしまいます」
「控除率を変えることで、馬券の買い方、その際の金額も変わってきます。初心者は徐々にお金を巻きあげられ、生き残るのは有能なホースプレイヤーばかりになってしまうでしょう。彼らのような馬券上手な人間同士の戦いでは割のいいレースが少なくなるので、レースを絞って買うようになるのです」
「こうして常連客が競馬に魅力を感じなくなり、馬券を買わないようになると、全体の売り上げが下がってしまいます。これは競馬場にとって自殺行為だ。多額の賭け金を投じていたヴェテランの代わりはなかなか生まれないものです」

損失がますます大きくなりうる、という考えに対して、競馬場の代表者や政治家は不幸にもほとんど耳を傾けようとしない。
控除率を引き下げようと動く地域もまれにはあるし、実際に行えばまず好結果を収めている。
しかし、一般的には売り上げを増やすために競馬場のオーナー、ホースマン、役人が決まって要求するのは、控除率を引き上げることばかりだ。
サイマルキャスト(同じ番組をテレビとラジオで同時に訪欧するシステム)や相互発売によって、馬券を買うレース数が増えると、控除率を高くしたことによる悪影響はさらに大きくなるだろう。1日に9レースが行われる競馬場で、トライフェクタ(3連単)の控除率が25%であっても、観客の銀行預金が減ってしまうとしよう。それがサイマルキャストで30レースの馬券を買うなら、もっと早く破産してしまうだろう。ニュージャージーではすでにこのようなことがしばしば起きているのだ。
高い控除率とサイマルキャストが結びつくと、悪循環に陥ることについては、いわば伝統的なパターンが現在ペンシルヴァニアで起きている。
同州では一見増収を期待できる場外馬券所設立の法案が可決された。ただし、トライフェクタ(3連単)の売り上げからは国庫にかなり流れていくことを認める法律もある。つまり、競馬場間の相互発売が可能になって、4つの異なる競馬場のトライフェクタ(3連単)を買えるようになったとしても、この馬券は30%かそれ以上の控除率になってしまっているのだ。
ペンシルヴァニア州の競馬場を見ると、フィラデルフィア・パークもまずい状況に陥ってしまった。経営者は、そんな状況は控除率を引き上げたことと何も関連はないといった。そして最近になって、この競馬場は1日に9レース行われるならそのうち7レースでトライフェクタ(3連単)の馬券を売り始めた。
2つのレース以外ではすべてトライフェクタを買えるようにしたのである。トライフェクタ(3連単)は競馬場にはうまみがありそうな30%の控除率だ。けれども、この方針によって、フィラデルフィア・パークはみじめにも破滅の道を進んでしまっている。さらに、この控除率が客の存在を無視しているということをまったくわかっていない経営方針であるがゆえに、事態はいっそう無残な状況なのだ。
すでに触れたように日本でのこの本の出版は2000年だけれど、このコラムが書かれたのは1991年だから、今からさかのぼること31年前のコラムということになります。
現在、アメリカではインフレ率がすごくて物価が高騰しているとニュースで報じており、日本にも波及するのではないかといわれています。では、それらに対して政治家や中央銀行や役人が正しい対処ができるかといえば、まあ、たぶんできないんですね。
かつての日本のバブル景気は当時の大蔵省が金融機関に対して総量規制という名の行政指導をしたことでバブル崩壊に至ったわけですが、指導している政治家も役人も、それがどういう結果を生み出すかってことには無頓着でした。日本はその後今に至る30年も沈んだ国となったのですから。
競馬場もしかり。自分たちがやっていることがどういう影響を与えるかについて、浅はかで短期的で近視眼的で、もしかして狙って的外れなことばかりしているのかと思われるくらい、妙なことをしたがる。それは世界で共通だということですね。
それでも世界は失敗を繰り返し、経験を積んで、以前よりは少しずつ進歩していると信じたいところではありますが。
愚か者たちが経営する競馬場または競馬で私たちは生き残らないといけません。馬鹿げた施策が今日もあちこちで行われますが、挫けずに、どう生き残るかを考えながら、今日も場外馬券場で馬券を買うしかないですね。
ご来場、心よりお待ちしております🤟
👺本日も払戻🎯はBAOO博多からガッツリ💴現金💸で持って帰ってください👌
