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3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備

もうしばらく前になりますが、2022年6月20日、地方競馬全国協会(NAR)、日本中央競馬会(JRA)全国公営競馬主催者協議会、特別区競馬組合、兵庫県競馬組合など5団体が、東京都内で記者会見を開き、ダートの3歳三冠レースを創設することを発表しました。

中央交流重賞として行われるジャパンダートダービー(JDD)に加えて、大井競馬場で施行される羽田盃、東京ダービーも中央と南関東以外の地方馬に開放、賞金も大幅に引き上げ、併せて園田の兵庫チャンピオンシップを3歳ダート短距離路線の頂点にするというものでした。開始時期は、2歳馬の競走が2023年から、3歳馬の競走は2024年から開始すると。

今回発表された体系整備案では、具体的に

★3歳ダート三冠競走の創設する。羽田盃、東京ダービーを新たにダートグレード競走とし、JpnⅠに格付けし、ジャパンダートダービーは競走名を変更(10月上旬に移設)し、羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートダービーを「3歳ダート三冠競走」と位置付け、賞金額を大幅に増額し、併せて三冠ボーナス(3競走全てに優勝した馬を対象とし、三冠ボーナス8,000万円を交付)を設定する。

JDDを秋に移設することで、現在の芝路線に倣って、東京ダービーを頂点とした「ダート版3歳3冠レース」を確立するということでしょう。これにより羽田盃と東京ダービーは、ジャパンダートダービー同様に、門戸を開放して中央交流重賞として実施されることになりますので、いわゆる「南関東の三冠」というのはこれによってなくなってしまうわけですね。将来的には国際レースまでもっていきたいと狙いもたぶんあるのでしょう。

JRA 3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備の趣旨

2・3歳ダート競走については、地方競馬各地区のダービーを頂点とする競走体系が設定されているものの、全日本的な競走体系の整備には至っておらず、ダートグレード競走も2歳12月の全日本2歳優駿以降、3歳5月の兵庫チャンピオンシップまで実施がありません。

芝を中心とした競走体系の中央競馬においても、6月のユニコーンSまで重賞競走の実施がないことから、ダート適性馬の目標となる競走が不足している状況です。そこで、日本ダービーを中心として体系づけられている中央競馬の芝クラシック路線に倣い、東京ダービーを頂点とした3歳ダート三冠競走を創設し、中央・地方の所属を超えた全てのダート適性馬が覇を争う全日本的なダート三冠(クラシック)路線を構築します。
また、2・3歳の短距離路線についてもダート三冠(クラシック)路線の構築にあわせ、高額賞金の重賞級認定競走の新設や兵庫チャンピオンシップの距離変更などの競走体系整備を行います。

今後、ダート競馬の競走体系を整備することにより、高い能力を持った馬が様々な適性に応じて活躍できる場を提供し、魅力ある競走を実施することで、ダート競馬の更なる振興を図り、ひいては日本競馬全体の発展に繋げていきたいと考えております。

★兵庫チャンピオンシップを3歳短距離路線の頂点競走として位置付け、競走距離を1,870mから1,400mへ変更、2歳秋および3歳春に高額賞金の重賞級認定競走を新設し、各主催者・各ブロックにおける短距離競走の体系を整備する。

日本中央競馬会 理事長 後藤 正幸のコメント

ダートグレード競走を中心とした地方競馬と中央競馬の交流は「交流元年」といわれる1995年から始まり、地方と中央の垣根を越えた競走を実施してまいりました。そこから四半世紀が経過し、今般、3歳馬競走において、ダートクラシック三冠競走の創設、短距離馬の目標となる兵庫チャンピオンシップの衣替え等、より全日本的なダート競走体系が構築されたことは非常に意義のあることだと感じております。
お客様におかれましては、2年後の新たな舞台を楽しみにお待ちいただくとともに、日本競馬への引き続きのご愛顧をお願いいたします。

「3歳ダート三冠」新設 地方馬のチャレンジに期待 2022年8月13日

ラジオNIKKEIアナウンサー 檜川彰人

・・・かつての力関係なら、ダート三冠は中央勢の草刈り場になるのでは、と思われたが、地方競馬の賞金上昇に伴い、地方に入厩する馬の質も随分、上がったのではないか。簡単ではないと思うが、地方勢が高いモチベーションをもって積極的にチャレンジしてくれれば、と思う。新たな三冠路線が全国を網羅した真の3歳ダートナンバーワン決定戦になることを望みたい。

一方で、一つお願いしたいのは、出走馬の優先順位の決め方の見直しである。難しいと思うが、3歳限定重賞に関しては芝とダートの収得賞金を別にして出走優先順位を決められないだろうか。中央で早い時期に芝で重賞を勝った後、成績が頭打ちになって急にダートに矛先を向け、ダート三冠のゲートを一つ埋める馬がいるのは、ちょっと納得がいかない部分があるからだ。

「ダート3冠路線」創設の〝メリット〟と〝弊害〟 現役JRA調教師が「解決策」を緊急提案

2022/07/13 山河浩
・・・「3歳春までにダート重賞を乱発すれば、そこで収得賞金を積み上げてきた組がいきなり〝日本ダービー参戦〟という事態も起きるだろうね」。

もちろんルール上は何の問題はないが、正統な路線を歩んできた有力馬が除外となれば〝令和版〟のアグネスデジタル=クロフネ騒動(天皇賞・秋=01年)にも発展しかねない。同時にリニューアルされる羽田盃→東京ダービーのJRA所属馬の出走枠を芝で実績を積み上げてきた組が独占する可能性も出てくるはずだ。

今回の3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備の発表については、賛否両論ありますが、ざっと見た感じでは賛成する意見のほうが多いようにみえます。ただ、3冠戦を全部大井競馬場でやる点については、他の競馬場でもやってほしいなどの意見も見受けられます。

これから更なる詳細も発表されていくでしょうから、どうなっていくか楽しみですね。乞うご期待!